15年にわたる恋心に終止符を打った。その15年の経緯を、俺の思い出づくりのために書いていく012

最後の日、俺は彼女への気持ちをうちあけ、もう一緒にはいられない、と告げた。その何日か前に、結婚式には俺を呼べよ、と伝えたのに。

彼女はそれに『嘘つき』と告げた。

そんな気持ち、ずっと言ってほしくなかった、と。

気持ちを押しつけてでも、ずっと、ずっと、兄として、家族として、最後まで一緒にいてほしかった……という意味だろう。

だが、理解もしてくれた……と思う。

すまない。本当にすまない。

あのとき、ケコン式には呼べよ、と言ったのは……ギリギリの強がりだった。頭が真っ白で、なんとか言えたのが、それだった。




最後の日、俺は、あの子に気持ちを伝えるのに、自分が大得意な『文章』というツールを使った。これなら話す以上のことを伝えられるから。

あの子のほうは、文章がそれほど得意ではないのに、俺はその手段を選んでしまったのだ。

そんな手段におよんだのは、ほかにも理由はある。直接話すことも考えたが──俺が泣いて、話もろくにできなくなるだろうから。
あの子も泣くだろう。それは聞きたくなかったから。

だが、俺はそれを踏まえても、泣きじゃくりながらでも、彼女の泣く声を受け止めながらでも、頭が涙でグチャグチャのまま、伝えるべきことを言い落としても、声で伝えるべきではなかったのか? 彼女から、直接、罵りやエールを受けたほうが良かったのではないか?






ただ、のちのち、助かった一事がある。

あの子は現在20241001、『負けヒロインが多すぎる』というアニメを見ている。

ちょうど先週のアニメで、小鞠という、小リスのような女の子が、自分の気持ちをLINEで伝えているシーンがあった。

俺があの手段を選んだ理由とは違うが、文章で気持ちを人に伝える、というのに、ああいう解釈もあるのだと安心もした。俺は(それほど)卑怯ではないのかもしれない、と。

あの子はあのメッセージをどう受け取ったかは知らない。

だが、もしもまだ俺のことを覚えているなら、小鞠のやったことを、俺のやりたかったことと解釈してもらえても嬉しいと思う。あれは、俺のやったことを、極限まで好意的に評価した言葉だった。




何年も前から、彼女には、俺のことを忘れられるための動きをしてきた。

それでも、完全に忘れられるのは辛いことだから。

そろそろ、彼女が二十歳になったときの話にもどろうと思う。

ここから彼女との付き合いがいよいよ長くなったのだが、あまり長くは語らないことにする。

ほかならぬ俺自身が、自分のことをやらなくてはならない時がきているのだから。

もう少ししたら、こんなふうに、うしろを振り返るわけにはいかなくなるだろう。

ずっと前から、ここから先は、俺一人で行くと決めている。

血の誓いは、必ず果たされる。




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