15年にわたる恋心に終止符を打った。その15年の経緯を、俺の思い出づくりのために書いていく017

それまでにも、いろいろあった。
夜の11時、俺が間違えてハッテン場に迷い込み、そこで女声をだす男と、それに奉仕する男の声を聞いて、男女の営みと勘違いしてデバガメかましたら、そこにいる登場人物全員男だった……というエピソードは、彼女もウケていたな。

そこから脱出するとき、なんかジロジロこっちを好色そうに見るオッサンとすれちがった。

初めてJKとかがセクハラ視線を受けるときの気持ちを知ったのも、今となっては貴重な体験……か?
「女はこんなキモい世界に生きてんのか?」と彼女に聞くと「せやで……」と彼女は答えた。この結論を知るということは、女が、みな通る道なのかもしれない。

また話がそれそうだ。
彼女と最後に直接会ったのは、二年前。2022年の夏。
とある動物園でのことだ。場所は沖縄だった気もするし、北海道だった気もする(はぐらかし)。

俺はその前に、彼女との電話のとき、つい本音を漏らしたことがある。

『人の付き合いとはしょせん、金か距離なのだ』と。それを聞いた彼女は、すげーパワーワード!と言って無邪気に笑っていた。
──俺と君は、いずれ離れることになるんだよ。
──金でも距離でも繋がっていない俺たちは、絶対に永続しない。
それを遠回しにした言葉だった。
遠回しに伝えたのは……伝わってほしくなかったからだ。俺が離れたくなかったからだ。

俺は彼女が健やかに、理想的な相手を見つけるまで、彼女を守ろうと決めていた。

そして、その時が来ただけなのだ。

話がそれた。
動物園の話にもどろう。

けっこう変わった動物園だった。コガネメキシコインコにエサを与えることができたが、コガネメキシコインコのほうは、クチバシに付着したエサ(リンゴ)を彼女の手でぬぐいとっていた。

今思うと、俺も彼女も鳥の糞の爆撃を受けなかったのはラッキーだったかもしれない。

また、彼女と喫茶店かどこかで会計を済ますとき。
彼女は、俺の財布が小銭でパンパンなのを見かねたらしい。『ちょっと貸して!』と財布をとると、きれいに小銭を消化して、俺のデブデブ財布を、たちまちスリム化してしまった。
成長の早い子だ、と思った。

あのときの思い出は、たぶん俺が死ぬときにも思い出すことだろう。
ただ残念なのは、当時使っていたスマホが壊れて、あのときに撮った写真がすべて見れなくなってしまったこと。

だけど、今は見れなくてよかったかもしれない。
あれが懐かしい思い出になるには、まだ時間がかかるから。





20241013しるす



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