第一部:命のかがり火 《あらすじ》
西暦2065年、マウスでの脳移植成功──
それはつまり、人間の脳が老いた身体を捨て、若い身体へ乗り換えられるという総百寿社会の到来を意味した。そんな世界の始まりを作った人物・寺山士門は記者からインタビューを受けたのち、幕末日本へタイムスリップすることになる。
知人も、地位も、戸籍さえもない世界に、ひとり取り残された士門だが、何としてでも現代へ戻るため、脳移植を用いて幕末の江戸を生き抜く決意をする。
そうして士門は、自らの脳を移植させるため、もっとも安全と思われる、自身のクローンを生み出す。
だが、士門は軽んじていた。そのクローンは、別の人格と魂を持つ、尊厳ある人間だったのだ──
1.プロローグ → 2.アズマ → 3.塞翁が馬 → 4.センテナリアン → 5.寺山士門 → 6.同塾の人 → 7.デバイド・アンド・ルール → 8.成敗 → 9.噛み合った歯車 → 10.遠路よりの復讐者 → 11.師弟 → 12.未来の母 → 13.行路 → 14.三途の黒闇ひらくなり → 15.呪われた男 → 16.就職 → 17.攘夷志士 → 18.不幸なる仲介者 → 19.襲撃 → 20.