「あれじゃ、無理だな」
ビルの二階の真っ赤なカーネリアン製の窓枠に腰を下ろし、交戦するファノンを双眼鏡で見つめるゴドラハンが、あきれ加減に嘆じた。
「おとといより、力は上がっているようです。ですが、あんなに
そばに立つロナリオが意見を重ねた。
「あいつはフォーハードと戦うには、
「アジンはファノンを殺す勢いで襲っています。どうやらファノンの顔を、フォーハードはまだアジンに覚えさせていないようです。このままファノンがアジンたちに敗れれば、ファノンの未来は袋叩きによる失血死しか、ありません」
「フォーハードにとっても、ファノンをこのまま
ゴドラハンは窓枠に腰かけたまま、横のロナリオに振り向いて続けた。
「俺たちも行くぞ。アジンと出くわした以上、確実に俺たちもフォーハードに狙われる。この森の中で、すべての決着をつけてやる」
すでに空手着に着替えているゴドラハンは、窓から離れ、一階への階段へと背をひるがえすと、ロナリオも黙って追従した。
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