「フォーハードめ!」
一人、どこかの森の中にワープさせられたエノハは、怒りを声音に乗せて吐いた。
「奴め……私をワープさせて、何をたくらむ」
フォーハードの
そしてフォーハードはいつも、相手に
――つまり。
「奴はファノンを使い、本格的に宇宙の破滅を始める気だ……」
エノハは立ち尽くしたまま、苦くつぶやいた。
フォーハードは間違いなく、エノハの見えないところで、そのための準備を始めたのである。
それをフォーハードに突き詰めても、おそらく涼しく嘘をつくだろう。
――俺はお前と契約したはずだ、お前が俺との約束さえ守れば、セントデルタは守る。
と。
今のエノハには、それをねじ伏せるだけの手段がない。
エノハは実質、この500年間、フォーハードによってセントデルタを人質にとられていたのである。
それを知りながら、エノハにはもはや、どうしようもなかった。
「ファノン……すまない。お前を守りたいのに、それすらできそうにない……」
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