芸術には産みの苦しみが伴うのだ……


とかオッサル人間がいるけど、なわけねえだろ。

人間の人事において、もっとも苦痛が伴うのは病魔や戦争、飢饉など、生命の生理に反する事物に見舞われた時。これの右に出る苦痛なし。そのありさまは、あたかも地界の一地獄と言わざるを得ず。

それに一歩譲るものとして、人間と人間との折衝がある。凄まじい妨害、わきまえぬ悪口、先人がこしらえた実もなき不文律の圧迫。人間が生み出すこれも病魔や戦争に劣るが、もっとも苦しい事業のひとつだ。(念のため付言すれば、人間世界には美事も甚だ多し。凄まじい妨害の道中には仲間の助力もあらん、悪口の渦中にあらば仲間の弁護もあらん、不文律の圧迫には新奇の知恵もあらん。人間世界が難しきからとて、妨害と否定のみの世界とみなすのもまた、無知のなせるものである。ただし、それらを踏まえてなお、人間世界に苦行多しと言える。それは人間同士は争うものだからである)

テメーの頭の中のできごとがうまくいかないだけで、ヤレ「産みの苦しみ」なり「大いなる行為の障壁」などと自己完結するのは、無為の極み、役立たずの極み。そもそも芸術なるものは、この世に存在すれども存在せずとも、なんの不都合もないもの。しかるに、いたずらにみずからの存在を大層にしたがるのは、世間知らずの骨頂、自己完結の単細胞と言わざるを得ず。

え、小説の続き書け?


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