金で愛や友情を証明した、と錯覚することならできる。けだしキャバ嬢狂いの男、ホスト狂いの女はそれに酔っているわけだ。

愛情についての定義はいずれ、どこかで触れるけれど、友情についてはこうだと思っている。

その人のために時間を惜しむことなく割くことのできる人間のことを友人といい、その人のために命を賭けることができる人のことを親友と呼ぶ。もちろんそこに金は伴わないし、真心なくしてそれは、おこない得ない。もし友人も親友もいないのなら、それは単に、その人が他人のために時間も命も賭けなかったからにすぎない。

たやすく友人だとか親友だとか呼びたがる知人になら、すぐに出会えるだろう。

知人と友人の違いは、危機のせまるときに他人と同じ動きをするか、友人のままでいるかの違いだが、知人はまちがいなく、そのとき他人として振る舞う。そもそも、古今よりそういう人間のほうが多いのだ。友人のいる人間は幸福だし、親友のいる人間は奇跡である。
自分のいま付き合っている人間がどちらなのか、それで考えてみれば、すぐにわかるよ。