7.アポトーシス(18~20P)
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■1
二十年生きた頃
セントデルタ人の
身体には
はっきりとした
異変が起こる
”アポトーシス”
細胞の自壊、
自滅を意味する
生物学用語で
『予定された
細胞の死』を指す
動物の手指の形成
オタマジャクシの尾の消失
などのイメージイラスト(ここで「あーそれのことねフンフン」となってほしい)
・ハノンを見下ろすクリル
・ハノンの遺体
・ファノン、メイ
・参列者
→◎
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■2
副腎皮質で分泌された
ステロイドホルモン作用により
心臓を含めた
全身の筋肉細胞が自壊
やがて死に至る
それがセントデルタ人に
起こるアポトーシスである
「お別れもなしに
闇に帰るなんて」
「ホント
あなたらしいよ」
(でもなんとか、
式の間に泣かずに
済みそうかな)
主賓用のトパーズの席へ向かおうと
振り返るクリル(タメ作る)
→◎
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■3
エノハ登場
・ちょっとななめに、アオリの構図
・縦長ぶち抜き
あたりで、大きく扱う
「……」
エノハに会釈をして
横を通りすぎようとするクリル
「クリルよ」
→◎
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■4
「ゴドラハンの
森での一件、
身にしみたろう」
「どうだ?
これを機に
過去の遺物探しなど
終(しま)いにしては」
「助けて頂いた
ことは感謝
しています」
「ファノンや
リッカもいたのだ
助けたのは神として
当然のこと、だが」
「次は
守りきれんぞ」
「……エノハ様」
「お尋ね
したいことが
3つほど」
「……何だ」
けっこうセリフ多めなので思い切って詰める
そこまで重要ではない内容の、小競り合いといったやり取りかつ
前のページの文字を減らしたぶんここで緩急をつける
→◎
前回、割りとねちっこめにルビ、ルビと書いていましたが、キッズが読みにくそうだと判断したところは遠慮なくエマンさん側でもルビっといてもらえればいいと思います。
お伝えし忘れてましたが、前回の四話(防波堤さんに完成してもらったところ)で、老衰にアポトーシスとルビを打ってもらったのは、あとで考えたらすごく良かったなと思いました。
ときおり老衰(アポトーシス)とルビっておくと芸大卒っぽい感じの、オシャレな雰囲気を出せるかもとは思いました(毎回でなくとも良いとも思ってます。毎回だと書くのもチェックするのもめんどいし、たぶんチェック漏れが発生します・・・うちの仕事のほうの体験上ですが、作業工程が多いとミスが飛躍的に連発するようになりますし)。
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■5
「森で襲ってきた
無人機……」
「まるで人間が
遠くから
操作している
ようでした」
↑フォントで語気強め感出す
このセリフと同時に補聴器触らせたい!(強火の伏線)
「……私もいま
調べているところだ」
「この島国(セントデルタのルビ)に最早
無人機は居なくなったと
思っていたが」
「本当……
ですか?」 (本当にそう思っているのですか、とかでも良いかも)
「その質問には
他意が感じられるが」
「いえ……
では2つ目の質問ですが」
質問の許可を取る下りをカットしてラリー減
→◎
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■6
「地球上は
このセントデルタを除いて
500年前の水爆津波によって
放射能汚染されている」
「……その
『カバーストーリー』を
いつまで続ける
おつもりですか」
二人が真正面を向いているコマを並べる
(対立的な印象を狙う)
「私が嘘を
ついている……と」
→◎
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■7
「放射性セシウムの
半減期はとうに
過ぎています」
「ウランや
プルトニウムは
そもそも微量」
「私たちは
地球の一部になら
入植は可能なはず」
「なのに」
「なぜその
ストーリーを
語り続けるのですか?」
「ウランと
プルトニウムの
滞留は事実だ」
「旧代よりその微量な
放射線による影響は
不明なまま……
あるいは秘匿(ひとく)か
捏造(ねつぞう)をされたままだ」
→◎
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■8
「それに……
この島国(セントデルタのルビ)の外には
水爆の男の放った
殺人機械が
闊歩(かっぽ)しているのだ」
「セントデルタ外を
出歩かぬよう命じるのは
それらから人々を守る為」
「離れた地に
入植した人々は
尚更、守れなくなる」
「放射能残留論は
取り下げないと
いうことですね」
「では最後の質問
ですが……」
「私たちの体を
なぜ二十年しか
生きられないように
なさったのですか」
ハノンのカット入れる
→◎
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■9
「清く生きるため」
「人は死を近くに
感じるからこそ
優しくなれる」
「愛することができる」
「進むことができる」
もしも必要なら読んでください帳:とくに変更点の希望とかではないんですが、もしも↑のところの言っている真意がイマイチわからん! と思われた場合のために、いちおう小説のほうの追記を……
よく聞く話では、限界集落にあるところの、たとえば廃校寸前の小学校では、1~6年生がまぜこぜになったまま授業が行われています。ああいう環境では、いじめが起こりにくいという話があるそうです。
また、病気などで寿命と正面から向き合っている子供もまた、やはり他人の感情の起伏にかなり注意を向けているのもよく見られます。
これをこのまま書くと、小説のほうでも冗長になるので削り、かわりに『人は死を近くに・・・』みたいにしたわけです。セントデルタは人口10000人と、かなり少ないです。コミュニティがちっちゃいのは、日本の廃校前の小学校を参考にしているからで、寿命が短いのは、早くに病気になってしまった子供の姿を参考にしています。なんかそんな感じの理由です(なにぶん昔に書いた小説なので…二回目にここを見たときに思い出しました)。
「……旧人類に
その感情はなかったと?」
「優しき人々は
居た……が」
「往々にして優しさは
利用されるものだ」
「戦争を、憎しみを食い止める
くびきになったことは一度もなかった」
→◎
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■10
「優しさは
集団で行えば
正義になる」
「そして人間は
正義を自覚したとき
最も残酷になる」
もしも必要なら読んでください帳:ここも変更希望ではないですし、必要なら読んでおいていただけたら、程度のものなんですが・・・・
ここの文言も、いろんな国家がおこなう世論操作をイメージして書きました。
1991年のイラク・湾岸戦争前には、アメリカ世論は戦争に反対という声も根強かったのですが、議会において、15才の少女を使った世論操作がおこなわれて、一転して戦争ぶっぱになった・・・という話です。詳しくは↓のリンクにあるyoutubeがわかりやすいです。
ぶっちゃけわざわざ全部みなくとも、始めの1分で何を言いたいか、おおよそわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=9uU1py7fcXg&pp=ygUb5Y6f6LKr5aSq44CA44Kk44Op44Kv5oim5LqJ
「それがどれほど
おぞましく醜いことか
知らぬ者はここにおるまい」
「為政者の癒着(ゆちゃく)も門閥(もんばつ)も
優しさであろう?
身内か自分自身に向けられたモノだがな」
もしも必要なら読んでください帳:ここはまんま学問ノススメの論点です。
儒教による統治とはすなわち政府と国民を、父母と子供みたいな仲睦まじい関係にしようとしたが、それは失敗だった──けっきょく、たんなる腐敗政治になった、とかいう話。
学問のすすめはかなり簡潔にまとめられきった文章ですが、その完成済みムリゲーをさらに縮めるエマンさんはさすがだと思います。
「……そうした歪(ひず)みの果てに
奴は産まれてきたのだ」
畳み掛けるようにスピーチ
ここらへんからめちゃくちゃ圧縮しちゃいました
多分結論はズレてないはず……はず……!
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■11
水爆の男
『フォーハード』
「奴の所業は言うまでもない」
「だが、奴の出生を
許したのは権力者……」
「そしてそれらと
戦わなかった民衆だ」
「為政者のくわだてを
占いもせず
その洗脳に甘んじて
酔いしれた」
もしも必要なら読んでください帳:ここも学問のすすめのロジックです。ナイス短縮でした
「その最中にも
窮乏者は産まれ続け
世界は水爆の男を育んだ」
「民衆のその精神が
絶滅戦争を呼びこんだと
言ってもいい」
「だから私は
自由を奪うのだ」
「私はそれらが
差し挟めないほど
全てを私の管理においたぞ」
↑すいません・・・・・前回のときに指摘してなかったんですが・・・・・(気づかなかった)
「私はそれらが差し挟め・・・」の『それら』が、どの語句を指しているのか、キッズによってはわからない子もいるかもしれません。
かんたんな『これ・それ・あれ・どれ』の使い方は、一句点前(ひとつ前の文節)か、あるいは同じ文節のどこかを指しておくのが、もっとも簡単な文章構成です・・・・つまり、「だから私は自由を奪うのだ」という文章のどこかに、『それ』の示す言葉を入れておく、というのが、キッズにもわかりやすいコソアド言葉のつかいかたです。それ以外のものは(2ページ前とかで書いてた文章を示す『それ』の使い方とか)、よく論文とかでやるやつなので、難易度があがってしまうのです(自分の小説のほうを見直してみましたが、僕の「それら」は前文の『その精神』を指してるっぽかったです)。
「だから私は
自由を奪うのだ」
のところを削ると、前回エマンさんのおっしゃるとおり、結論をはっきりさせるという意図がかすむので、削らないほうがいいと思います。つまり、
「私はそれらが
差し挟めないほど
全てを私の管理においたぞ」
のところを、まるまる削っても、■12につないだところで意味が変わんないと思います。
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■12
「文化は守るが
文明は捨てさせ
土着の社会のみしか
許さない」
「それもひとえに
あの絶滅戦争を
蒸し返さぬためだ」
「現に私はこの500年
・・・・・
理想の世界を実現している」
「500年間
内戦さえ起こらない
争いのない世界をな」
「500年間も
身体を機械で固めて
永遠の統治を
なさっていますものね」
「涙ぐましいかぎりです」
目線がぶつかりあうカット
→◎
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■13
「私たちを
創り出すときも
白人、黒人、黄色人の
DNAを混ぜこんで
単一の人種として作った」
もしも必要なら読んでください帳:ここもふくざわがいってた。時代が進めば混血やら国際交流やらなにやらで、人種も言語もとけてひとつになるだろうとか。地続きのヨーロッパとイスラムやら中華圏の人間の混血がそれほど進んでいないから、たぶんあと1000万年くらい必要なのかもしれませんけど。
「おかげで人種差別の
しようもなくなりましたよ」
「人種が違えば殺し
宗教が違えば殺し
宗派が違っても、考えが違っても
あるまじきは覇権を
金を得るため人を殺し」
「そうでなくとも
我が意に反せば
敵意や悪意をむき出すのだ」
「私はそれらの余地を
なくしたにすぎない」
「それは解決に
なっていません」
→◎
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■14
「同じ民族でも
少し思想をへだてれば
西と東に貧富が生まれ」
「あるいは北と南に
わかれて権勢を
争ったという
事実もあります」
「それは国家が
作った不和だ」
「国家など未来永劫
このセントデルタ以外に
生まれない」
「クリル」
クリルの腕を掴むファノン
クリルは後ろ姿
「死者の前だ」
思いっきり圧縮しましたが
『闇に帰る』が文字通りという展開につながる
キーワードなので少し考えたい
ここらへんの闇に
もしも必要なら読んでください帳:『闇に帰命』『闇に帰る』の語句は、この後もかなり頻繁に出るものになります。昔にあったサガ・フロンティア2というスクウェアのゲームで、人が死んだときに使う言い回しに、『アニマが旅立つ』とか『アニマが体を離れる』とかがありました。
なんかあのフレーズがかっこよかったので、ウチの宗派の浄土真宗・本願寺派のところの経文にある「
「……」
→◎
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■15
クリルの表情アップ
瞳はハイライト多めで、感情的な表情
・はっとした目のファノン
・踵を返して席に戻るクリル
・ファノンとエノハ対面
「ファノン、
白血病の予後は?」
「おかげさまで」
「あれから5年近く
ぶり返す
気配もないぜ」
↑「あれから5年近く
ぶり返す
気配もないぜ」
のところですが、文章を音読してみると、「あれから5年近くぶり返す気配もないぜ」という、あまり使わない言い回しになります。
音読されるのを意識するなら、「あれから5年
ぶり返す
気配もないぜ」
とかなら、ひとつのコマにあっても「あれから5年……ぶり返す気配もないぜ」くらいにとらえてもらえそうです。
力こぶのポーズ
↑ここのコマのとき、もし可能なら、デフォルメしたような描き方や表情でおねがいできないものかな、とか・・・・
つねづね思うのですが、登場キャラの魅力のあるなしは、表情の多さ次第のような気がしているのです。
このすばのアクアが、めぐみんやダクネスとかと比べて魅力的なのは、顔がしょっちゅう変化してたからだというのが僕の分析ですが、ここらへん、どうなんですかねえー
「それは良かった」 エノハ、微笑んだあと歩みだす
→◎
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■16
・手前:ハノンの傍らに立つエノハ(ピントぼかす)
奥:しかめ面のクリル
・ファノンは表情のみで不安感
(絵で表現出来るものは絵で)
・同じコマでメイ
「あれでお前よりは冷静なんだよ」
「信じてやれよ、私達の親だぞ」
「――運命をまっとうし
闇より生まれたハノン・
ジャガイモセンセーは」
「これより正しく
闇へと返らん」
→◎
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■17
「借りたる身体は
土とならん」
「虫とならん」
「水とならん」
「雲とならん」
「霊は不可説をへだて
かならず血肉を
取り戻す……」
呆けた表情のファノン、
生前の回想のようなカットをバックに
エノハが経を唱える
・覗きがバレて逃げる
・お酒を飲む
・焼き物に興じる
・彼の作品を楽しむ人々
→◎ ここと■18は神短縮です! 漫画にできる長所とエマンさんの知恵が爆発してます
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■18
(あと、5年……)
(あと、5年……)→(あと、5年で……)
にするともうちょい文がわかりやすくなるとおもいます。
(俺も……)
思考を巡らせるファノン
↓この箇所は↑のセリフの隣で小さく書く
「……宇宙へ散り
星へ散り銀河へ散り
闇へと帰らん」
「これは永遠の
惜別にあらず」
↑ここまで
「不可説を待ち
再び血肉の
戻らんことを」
エノハの脇から
喪服の若い男が二人前に出る
→◎ なんか式典ぽくてかっこいいです
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■19
・祭壇から男たちに担ぎ上げられ
「アパ」に運び込まれるハノン
・アパに佇んでいた
3人目の男が何か呟いて鍵を差し込む
(字に起こせないようなボソボソしたセリフ)
・蓋が開き、穴から深い闇が覗く
・3人の男が死者を運び入れ、手を離すカット
もしも必要なら読んでください帳:こういう死体処理は、チベットの鳥葬(ハゲタカに死体を食べさせる葬式方法)を手本にしました。なぜだか、無修正の鳥葬動画がyoutubeでみれますね。見た人の話によると、めちゃくちゃ血肉のにおいが遠くまで漂うらしいですねアレ。
「ハノンはこれから
時間をかけて闇へ帰る」
「だがその体と魂は
長い時間をかけて」
「数京(すうけい)の
素粒子となりながら
天地を漂い」
「しばらくは
この大地で生命の
一部となって
生きることだろう」
→◎
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■20
エノハ、衣服を翻し
退出しながらファノンと
言葉を交わす
「此度は不幸だったな」
←此は「この」とひらがながいいですキッズ的に
「うん……」
(『はい』だろと肘を入れるメイ)
「いいのだ、メイ」
「エノハ様は……
この後もまた?」 ラリー減も兼ねてメイに話を振らせる
これによりエノハが「日頃から忙しくしているのだな」と
読者に察していただく
名采配です! たしかにここのエピソード、メイがしゃべるところがほとんどなかったですし、役割をあげるのは超いいです
「闇に帰名した者が
他にも居てな」
「もう少し話を
したいが……
このまま遠方に
赴かねばならぬ」
↑セントデルタは岐阜県の木曽川と長良川の間にある土地ですから、たぶんあんまり広くないです。別のところとか、離れたところとか、くらいにしといていただけたらです。
「うん……」
「エノハ様も
がんばって」
立ち去るエノハ
終始呆けた顔のファノン
→◎
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■宿題
・クリルの反発と
エノハの許容
かなりスムーズな漫画化に成功してくださってるので、↑は無理して入れなくてもストーリーは破綻しないかもと思ってます(入れる余裕があれば入れるに越したことはないんですが)。ただ、下の自警団のところですけれど・・・
自警団がちゅよい権力をもっている描写を、最後まで説明せずにいると、ストーリーが通じなくなるかもなあとは思ってます。
もしも説明しなかったら、「自警団? ようするに田舎の消防団みたいなもんなんだろ?」とか思われそう。
本心では自警団って呼び名、だっさいなぁとは思ってます。
ジャンプの銀魂にでてくる自警団は『百華』という名前にしてたから、そういう名前をあてても良かったんですが、あんまり専門用語を増やしたくないので、このままにしました。
北朝鮮もトップが総書記とかいう名前だし、まあいいかなあと・・・。
・自警団とリッカ
これらは原文では葬儀の間、
ファノンが思慮を巡らせつつ
開示した情報ですが
一旦今回カットさせていただきました。
漫画での場面との連動を考えると
次話「8.ノト」の冒頭あたりに挿し込む形で扱い
「神視点のモノローグ」として処理するといいかなと思いました。
(ノトとリッカは当事者ですし
クリルの反発に関しても幸いこの二人が言及してくれていますので)
↑
よいとおもいまっす!
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